村上春樹の「バースデイ・ストーリーズ」
バースデイ・ストーリーズ
村上春樹(翻訳) 1000円+税
アンソロジー、つまり “いいとこどり” の寄せ集め。
本書は誕生日をテーマに村上春樹が自ら選んだ最近の英語圏の短編集で、翻訳者村上の好みが多分にあるとはいえ、英米の現代作家の志向性なんかも透けて見えてくる。
「ムーア人」の軽いながらもなにかありそうな書き出しに引かれて購入した。総じて暗くて救いがないんだけど、これがいかにも現代という感じで、そこから人生が浮き彫りになる。底の浅い人情話や予定調和の恋愛譚とはちがって、心に楔を打ってくれる。
収録作品は下記の12編
「ムーア人」 The Moor ラッセル・バンクス
「ダンダン」 デニス・ジョンソン
「ティモシーの誕生日」 ウィリアム・トレヴァー
「バースデイ・ケーキ」 ダニエル・ライオンズ
「皮膚のない皇帝」 リンダ・セクソン
「ダイス・ゲーム」 ポール・セロー
「永遠に頭上に」 デイヴィッド・フォスター・ウォレス
「慈悲の天使、怒りの天使」 イーサン・ケイニン
「バースデイ・プレゼント」 アンドレア・リー
「風呂」 レイモンド・カーヴァー
「波打ち際の近くで」 クレア・キーガン
「ライド」 ルイス・ロビンソン
「バースデイ・ガール」 村上春樹
レストランで見かけた老女を囲んでの誕生パーティ、それは若い頃に不倫した年上の人妻と30年ぶりに再会だったという「ムーア人」。これ読んだ後に、町の掃き溜めのような若者たちの居場所を描いた「ダンダン」があって、その組み合わせで結構衝撃をうける。さらに、「ティモシーの誕生日」は、息子ティモシーの誕生日を楽しみにする老夫婦のものとに、代役として訪れた若者を描いたもの・・・・。
登場するのは、行き場を失った若者と取り返しのつかない人生を過ごした老女たち。でも、それはとりたてて特別のものじゃなくて、だれもが背負っているんですよね。
国内の新人作家たちが書く作品の多くがが、書くべきものがないという叫びと苦悩と倦怠の中で生まれているなかで、英米の作家たちの日常をすくう目の確かさを見た思いです。
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Comment
2006.11.18 Sat 02:42 はじめまして
本のレビュー?をやってるんですね〜
本と言えば・・・雑誌、漫画、漫画の延長のような小説しか読んだ事がないですが・・・分厚い本は読むのに勇気が必要です!!
また覗きに来ますね〜(^o^)/
本と言えば・・・雑誌、漫画、漫画の延長のような小説しか読んだ事がないですが・・・分厚い本は読むのに勇気が必要です!!
また覗きに来ますね〜(^o^)/
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